LINE Fukuoka(現LINEヤフーコミュニケーションズ)は2018年8月に福岡市と包括連携協定を結び、福岡市民の生活がより便利で豊かになるようなサービス展開を進めています。今回はその福岡市とのプロジェクトをリードしている南方 尚喜に、スマートシティ本部はどんな組織なのか、また、今後の展望についても聞きました。
南方 尚喜
スマートシティ本部
これまでのキャリアを教えてください
新卒でリクルートグループに入社し、求人広告制作からキャリアをスタートしました。求人広告の枠組みにとらわれず、事業や経営戦略など一段上の視座に立って考える経験ができたことは、今に影響を与える原体験となりました。福岡との出会いは、九州支社の住宅情報事業の部署へ異動になったことでした。仕事を通してたくさん取材をして、様々なところを見て知って、福岡という街をすごく好きになりました。
入社したきっかけを教えてください
前職の中で社内の次世代リーダー向けの成長プログラムに参加していました。自分自身が考える社会課題について徹底的に向き合う場があったのですが、私はそこで悩みました。
これが良くなるといいなというものはあったのですが、心の底から自分が解決したい、人生を捧げたいと思うほどの社会課題は出てきませんでした。
一方で、自分の心の奥底にある、自分が好きな街「福岡」に住む人を幸せにする仕事がやりたいという気持ちに気づくことができました。タイミングよく、知人からLINE Fukuoka(現LINEヤフーコミュニケーションズ)の話を聞き、「福岡という魅力的な街×LINEという強力なサービスのシナジー」に大きな可能性を感じ、入社を決めました。
スマートシティ本部はどんな部署ですか?
組織発足のきっかけは、2018年4月に経済産業省が「キャッシュレス・ビジョン」を出したことでした。それを受けて福岡市がキャッシュレス化を宣言し、事業者の公募が始まりました。LINE(現LINEヤフー)としてもAI・Fintechを戦略事業として強化するタイミングだったので、社内で誰がやるかという話になりました。“ここは負けられない戦いだ”と思い、私が手を挙げました。そこからのスピードは速くて、5月に福岡市が宣言、6月に無事採択。また他にもAIなど様々な協業案件があったことから、8月には福岡市との包括連携協定を締結することになりました。協定を結んだことで福岡市と組んでSmart City化を進める動きは高まり、キャッシュレスのみに留まらず様々な行政サービスをリリースしてきました。
チームは人数が多いわけではなく、少数精鋭です。組織づくりの考え方としては、戦略に合わせて人を採用するというよりは、様々なバックグラウンドや専門性を持っている人が集まって、それぞれの能力が活きる形でビジネスを進めていくような要素が強いです。今のメンバーで言うと広告・通信・行政システムなど各々の出身業界の知見を活かしつつ、BtoCのマーケティング、データドリブンな戦略立案、地場企業とのリレーション構築など、それぞれが皆違うスキルや経験を持っています。ただ、共通している点はチャレンジをする姿勢と、それを自主的・主体的にオーナーシップを持って進めていける人であることです。
あと私たちの組織は企画、開発、PRをする人がワンチームにいるということも魅力の一つです。それぞれの役割がスパッと区切られているわけではなく、いい具合にコラボレーションして意見を出し合いながら進めています。ワンチームだからこそ3カ月あれば何かしらのサービスをリリースできるくらいのスピード感を持つことができていますし、その魅力は非常に大きいと感じています。
仕事を通してのやりがいや面白みを教えてください
福岡市というフィールドは本当に魅力的だと思います。都市としてのITリテラシーが高く、国際的なイベントも多いし、街の開発も進んでいます。
更には人口も増え続けているという、少子高齢化の渦中にある日本で唯一の特殊な街です。
そんな中でLINEという日本のインフラ的なコミュニケーションサービスとの掛け算ってすごく強いと思います。福岡市×LINEのポテンシャルで世界と戦えるチャンスが既にあると本気で思っています。
あとはもちろん、やったことに対するユーザーの反応が手に取るようにわかることもやりがいになっています。
今後の展望を教えてください
日本だけでなく、世界を意識していきたいです。福岡市をフィールドに様々な事例を創出し、それを世界に対しアピールしたい。そうすることで世界における福岡市およびLINEのプレゼンスを向上させたい。
Key Resultとして分かりやすく言うならばスポーツ選手がオリンピックを目指すのと同じで、Smart City Expoという世界的なSmart Cityのイベントに呼ばれるようになり、第三者機関の定める世界のSmart Cityランキングに入るようになるといいなと思います。
そういったものを通して世界中のビジネスパーソンが福岡市や当社に視察に来るような状態を目指しています。
Smart Cityは私の定義によるとその街固有の課題をテクノロジーで解決するということです。
福岡市の課題をちゃんと見つめて解決に努めていきます。
これまでの取り組みだと、人口増加による役所窓口の混雑に対する不満増加に対して、「引っ越し・証明案内サービス」をリリースして窓口混雑の平準化を図っています。また、海外の観光客も増えているので、中小企業をメインにキャッシュレス化の推進を後押しする施策も進めています。
今後は観光する際に公共交通機関が分かりづらいのでMaaSだったり、高齢者が増えているからヘルスケアだったりと、さまざまな話があります。そんな風に街の課題を見つめてプロジェクトを進めていきます。
福岡市という最高のショーケースでSmart City化を推し進め、日本だけでなく世界をリードしていきたいです。