LINEが持つAI技術を使った製品のテクニカルサポートやセールス、精度向上のためのデータ構築など運営業務を担うAI運営部。部長の加藤 敏之に、組織運営や業務のやりがい、今後の展望について聞きました。
加藤 敏之
AI運営部
これまでのキャリアと入社のきっかけを教えてください
大学時代に経済学部でプログラミングを学んだ後、コンサルティング会社に就職しエンジニアとして5年、コンサルタントとして3年勤務しました。その後通信販売会社のコンタクトセンターへ転職、立ち上げ期の会社だったこともあり、約8年間非常に幅広い業務を経験しました。
前半5年間は一般オペレーター、SV、採用、総務、社内ヘルプデスク、開発、ベンダーマネジメントなど分野を超えて担当し、後半3年間はマネージャーとしてセンター運営に関わる経営計画書作成から予実管理、管理職育成、新規クライアント開拓業務に携わりました。2014年11月にLINE Fukuoka(現LINEヤフーコミュニケーションズ)へ転職し、カスタマーサポートや金融領域などを経て、2020年1月からAIに関する業務に携わっています。
当時当社を知ったきっかけは、拠点立ち上げのテレビCMでした。その直後に、優秀な知人2名が同時にLINE(現LINEヤフー)に転職し、福岡拠点の立ち上げに関わっていくことを知り、興味を持ちました。その2人に話を聞いてみたところ、仕事内容が非常に面白そうだと一層魅力を感じました。もともとITやシステムに関心があり、経歴的にも何かを立ち上げて大きくしていく仕事が多かったため、これまでの経験が活かせそうだと感じたこともあり入社を決めました。
AI運営部の業務について教えてください
私たちは、主にLINE CLOVAに関する運営業務をおこなっています。AI関連組織の全体像としては、まず企画があり、企画内容に基づいて開発し、開発されたものをテスト、販売、サポートするといった流れです。その開発以外を全て担当しているのがAI運営部です。東京拠点に企画・開発を担当するチームがあり、そこと連携して日々の業務を進めています。
具体的におこなっている業務は、テクニカルサポート、カスタマーサクセス、AIの性能評価、精度向上のためのデータ作成、セールス、マーケティング、企画業務などです。AIと聞くとなんとなくハードルが高いと感じられるかもしれないですが、入社時点ではAIの知識がなくても問題ないです。実際に現場で活躍しているメンバーも最初はAIに関する知識や業務経験はありませんでした。AIに関する知識やスキルは、AI運営部に入ってから十分に身につきます。
入社後は、まず研修を受けていだき、実務でのOJTという流れで進行します。研修の中では、AIに関する基本的な研修も準備していますし、教育担当者がつくことでフォロー体制も充実しています。私自身もAI業務に携わり始めた当時は知識が全くなく、そもそも「AIとは何か」と右も左もわからない状態でした。そういった自身の苦労した経験を活かして、0からでも問題なく学べる環境を整えています。
また、AIに関する研修だけではなく、業務全般に関するサポート体制にも力を入れています。教育担当者からのフォローに加え、リーダーや私もメンバーの話が聞けるよう定期的に面談を設けています。入社して間もないころは違う部署のリーダーとの面談も月に1回、合計3度ほど設定しています。チームの人に相談したいこともあれば、チームの人だからこそ言いづらいこともあると思うんですよね。そういった色々な悩みを、溜め込まずに済むような環境作りを心がけています。
業務のやりがいを教えてください
LINEヤフーのAI技術は、グローバルコンテストでトップを取るほど精度の高いものです。その技術を搭載した製品の運営に関われるということは、AI運営部の大きな魅力だと思っています。この業界は、2年前のAIはもう使えないと言われているほど、進歩の早い世界です。そんな成長分野において、まさに最先端の技術を広める一端を担っているというのは、とてもやりがいがあります。
また、業界が発展途中なのと同じく、私たちAI運営部も成長段階にあります。まだまだ伸びていく組織なので、自発的に動けば仕組みの構築やサービス改善に向けて個々のメンバーが新たな価値を創出することもできます。AI関連業務はもちろん、先ほど言ったような研修制度など、これから必要な仕組みを考えて整備することにも全員で取り組んでいます。私の仕事はAI運営部のあるべき全体像を考えたり、メンバーの働きやすい環境を整えたりすることだと思っており、相談にも乗りますが、それぞれの担当業務については信頼して任せるようにしています。これは私自身がこれまでの経験の中で、試行錯誤をしている時に口を出されたらやりにくい、という経験をしてきているので、このようなマネジメントを心掛けています。
実際、2022年度の福岡マラソンに使うAI ChatbotをAI運営部で構築したのですが、私が口を出さなくてもメンバーの総力はすごいものがありました。業務自体は大変だったと思いますが、「地域に根付く福岡マラソンを成功させたい」という熱意を持って多くのメンバーが連携して取り組んだ結果、品質の高いAI Chatbotを短期間で作り上げてくれました。もちろん、私がこう作りなさいと指示を出したわけではありません。そもそも、福岡マラソンにAI Chatbotを、というアイデアもメンバーから出たものです。そうやって全員が自分の力で伸びていく環境を作り結果的に組織として成熟していく、という組織を目指しています。
組織成長で重視していることは何ですか?
明るく前向きな組織であることを大切にしています。そのために、AI運営部全体が関わるコミュニケーション施策を月に1回開催しています。メンバー同士がコミュニケーションを取れるようなゲームやイベントを企画し、みんなで楽しむというものです。最初は私が一人で言い始めたのですが、今では有志のメンバーが運営してくれており、企画から実施までを業務の一つとして任せています。
組織として成長していくには、メンバー間の連携や相互作用が欠かせません。この施策を通して、ただ同じ部屋で業務をしている集団ではなく、「同じ目的に向かって信頼しあえるチーム」になれているのではないかと思います。
今後の展望を教えてください
日本一のAI運営組織になりたいと思っています。AI運営のプロフェッショナルであり、いかにAIの精度を上げられるかをこれからも全員で追及していきます。私たちが目指す理想のAIは、ただ技術が高いAIではなく、「人にやさしいAI」です。誰でもいつでも使いやすいこと、日常に自然に溶け込めること、そういった観点でもレベルの高いものを作っていきます。
とはいえ、現時点ではAI運営における日本一という客観的なものさしがあるわけではありません。そのため、「社外も巻き込み、AI運営のわかりやすい基準をつくること」も、私の仕事だと考えています。運営において指針のひとつとなるようなものを作ることができれば、業界全体がもっと盛り上がるのではないかという思いもあります。そして、その基準の中で私たちAI運営部が日本一をとることができれば、とても嬉しいです。
また、個人的な展望としては、メンバー一人ひとりが今後どんなキャリアを歩んでも活躍できる人材になれるように支援していきます。そのために必要なマインドの醸成や、論理的思考力といった思考スキルの向上に関しても、研修などの制度を整えてきました。入社時だけではなく、そういった研修を長く継続的に実施することで、全員の力を底上げしていきたいと思っています。
当社は、サポートが整っていてとても働きやすい環境です。チャレンジを応援する風土が行き渡っている上、先ほどのコミュニケーション施策は今や全社的にも取り組まれ始めるなど、柔軟で社員の成長を積極的に後押しする会社です。その働きやすさも、最初から当然のように揃っていたわけではありませんが、その時々の社員が、何が今の会社に必要なのか、これからどうあるべきかなどを考え奔走してきたからこそ、今の環境があります。そして、この環境だから会社として成果を出すことができています。AI運営部はまだまだ新しい組織ですから、そういった「全員で作り上げていく」姿勢を忘れず、ゆくゆくはLINEヤフーコミュニケーションズの成長を牽引する存在になっていきたいです。